イトーのブログ

ここはゲーム、まんが、映画の備忘録帳でござい 自分用なので文章が自由

流しソーメンBARのお話です

 こんにちは、イトーです。

 

 先日、池袋の「流しソーメンBAR」に行ってきました。

 読んで字のごとく流しソーメンが食べられるバーです。涼しげ。
 店内には竹製のレールが縦横無尽に引かれていまして、その中を水流とソーメンが流れるという作りです。

 お値段は1時間で1500円制。めんつゆの入ったお椀片手に店内をうろつきながら、好きな時に好きなところからソーメンをつまんで食するというシステムが楽しげです。ところどころにある小椀にある薬味も自由に使っていいそうです。

 店内を見渡すと、茶屋のような長椅子がいくつか置かれているのに気づきました。ここで脚を休ませていってほしいという店主の気遣いでしょう。椅子や、点々と配置された小卓は木製で、裸木ながらしっかりした造りだと思ったら、同行した友人(ルームシェア中の男です。元陸上自衛隊員)いわく、ヒノキ製とのことでした。……この男はときどき妙な造詣を発揮します。

 和風で統一された域な店内を見渡しながらソーメンをすすっていたら、友人がぼそりとこんなことを呟きました。

「この流しソーメンの水は、店内を循環してるってことなのかね」
「……まあ、そうなんじゃない。常に新しい水を出し続けてたら水道代すごそうだし」

 ちなみに水とソーメンのスタート地点は複数設置されていて、もし誰かが排出されるソーメンを上流で全て独占したとしても、別の源流から本流へと適宜ソーメンが合流し、分け隔てなく行き渡る仕組みになっています。

 友人は流れゆくソーメンを眠そうな目で眺めながら、
「店内には俺たちを含めて8人の客がいるじゃん。で、みんなそれぞれ同じ箸をずっと使い続けているわけだけど」


 やめなよ。
 ちょうど箸で掴んだソーメンを戻すわけにもいかず、私は複雑な胸中でお椀に麺を入れました。
 すこし薄くなっためんつゆに浸ったソーメンを眺めながら、それを口に運ぶべきか迷っていると、不意にスピーカーからししおどしの音が響きました。次いで若い男のアナウンス。

『ご来店中のお客様にお知らせします。水の定期入れ換えを行ないます。作業は10分ほどで終了いたしますので、ご迷惑をおかけしますがしばしお待ちください。ご協力のほどよろしくお願いいたします。繰り返します……』

「あー」
 唸る友人。この男の感情の機微は昔からいまいち掴みづらいのですが、おそらくは感嘆のため息でしょう。
 そのまま竹製のレーンを眺めていると、次第に上流からの水(とソーメン)が減っていき、やがて完全に途絶えました。それから更に五分も待つと再び透明な水が流れ始め、元の水量へと戻った後、遅れて充分にほぐれたソーメンが流れてきました。

 おあずけを喰らっていた客の面々が箸を掲げ、沸き立ちます。

「水だ! 新鮮な水だ!」
「ソーメンもあるぞ!」
「茗荷……葱……山葵……! へへ、どれから試そうか迷っちまうな!」

 あくまで紳士的に竹のレーンへ群がると、皆が皆つるつるとソーメンを食し始めます。濃いめんつゆに浸し、首を持ち上げながら生き生きとソーメンを啜る様はさながら鵜のようです。
 私たちもこうしてはいられません。私は友人と目で示し合わせると、穏やかな足取りで流しソーメンへと向かいました。

 蛍光灯の明かりを受けてきらきらと輝く清流を、白磁のように艶やかなソーメンが滑らかに流れていきます。その一筋一筋を掴もうと、漆塗りの箸が次々と伸ばされます。
 その涼やかな光景はまるで、真夏の冷たい石清水を泳ぐ岩魚を追うかのようでした。

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というBARをルームシェアの友人に提案したところ、「冬も営業してんのそれ」と訊かれました。
 ……しゃぶしゃぶとかしてるよ。流ししゃぶしゃぶ。

ゲーム業界志望の学生さんへのアドバイス ~一次面接編~

 こんにちは、イトーです。

 就職活動の季節になりましたね。
 弊社、一応ゲーム会社ですので、ゲーム会社志望の学生さんがたくさんいらしてくださいます。ありがたいことです。
 私は弊社の中では底辺を這いつくばるゴミ虫のようなプランナーではありますが、人が足りないこともあって、それなりに面接官として招聘されることも少なくありません。(もちろん私以外に、ベテランのプランナーも同席しますのでご安心ください!)

 面接をしていてとみに思うのは、「もったいないなあ」という一言です。
 きっと私のようなゴミカスプランナーとは比較にならないほどのポテンシャルが皆さま新卒様にはあるはずなのに、それが正当に評価されることなく、一次面接で消えていく。その光景に幾度となく歯噛みしてきました。
 本稿では、ゲーム会社のプランナーを志望する皆様方に対し、どのように立ち居振るまえば一次面接を突破できるか説いてみようかと思います。
 なお酔っ払いながら書いてますので、参考にするのはそこそこにしておいてください。

ゲームへの情熱

 まあ、ゲーム会社ですので。
「情熱」と言うと急に宗教的なアトモスフィアを感じますが、これで馬鹿にできない概念です。
 会社にも依るでしょうが、一時面接レベルでしたら面接官のほとんどはゲーマーです。ゲーマーが重視することと言えば、「こいつはゲーム好きなのか?」ということでしょう。
 もちろんゲーム好きでなくともそれを補う能力(何かプロジェクトを成功させたとか、英語がペラペラだとか)があれば評価されるでしょうけど、結局最終的な評価基準は「この人と一緒に仕事をしたいか」という一点。
 ゲーマーが好きなのはゲーマーです。よって、ゲーム好きな自分を演出するに越したことはありません。

 ここに至っては「ポケモン」「ドラクエ」といった超メジャーゲームは評価対象となりづらいので注意してください。もちろん「ポケモン世界大会出場」とか「5V以下はクソ」みたいなやり込みっぷりがアピールされていれば別ですが。
 なおイトーはたまたま遊んでいた「Gears of War」「レジスタンス」あたりが評価されて、面接を通ったようでした。GoWはともかく、レジスタンスは評価対象としてはどうなのだろう。いや、私は好きなんですけど。

コミュニケーション能力

 評価基準に挙げられる割に、実態がよく分からない代表の要素です。
 プランナーは他の職種(プログラマ、デザイナー)と折衝することが大変多い職種です。プランナーというのはプログラムもデザインもできない代わりに、全体のゲーム設計を行なって、その実現を各職種にお願いする立場ですからね。そこに対人折衝能力が必要になることは、言うまでもないでしょう。

 さて、では面接で「コミュニケーション能力」を評価されるにはどう振る舞うべきなのか?

 リラックスしてください。
 非常にベタなアドバイスですが、真理なのだから仕方ありません。緊張を解き、笑顔とほがらかな雰囲気と共に、気さくかつテキトーにお話してください。まるで友人に対して対話するように。そうして柔らかい雰囲気を演出するだけで、面接官はあなたを「コミュニケーション能力がある人材」として評価します。
 逆によろしくないのは、緊張しすぎて判を押したような返答しかできない人材や、訥々としか喋れない人間です。リラックスする手法についてのアドバイスはできませんが、とにかくテキトーでいいので滔々と喋るよう努めてください。

 

エンタメ嗜好

 ゲーム開発者というものは、ゲームにのみ詳しくあればよいものではありません。あらゆるエンタメに通じ、そこから有益なインプットを行い、開発するゲームにフィードバックできる素養が必要なのです。何かすごいマジメなこと言ってますね私。
 さて、教養としてのエンタメとして重視されるものは次の通りです。
「映画」「アニメ」「漫画」「小説」。
 どんなものを好いていればいいかは、もう完全にご志望の会社に依ると言えます。たとえば日本一ソフトウェアさんやコンパイルハートさんであればアニメ的素養が重視されるでしょうし、海外向けタイトルを出しているメーカーさんであれば洋画の鑑賞履歴を問われるでしょう。

 ちなみに私は就活当時、何故かゾンビ映画をひたすら見ておりまして、面接ではロメロの「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」をひたすらこき下ろし、「ショーン・オブ・ザ・デッド」をベタ褒めしたら受かってました。多分社長がゾンビ好きだっただけだと思います。今頃採用したことを後悔しているのではないでしょうか。
 どうでもいいですが、「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」は実に……こう、何というか……怪作でしたね!
 ゾンビアポカリプスに覆われたアメリカで、ビデオカメラが趣味の主人公がひたすら終末の日々をカメラに収めるという内容なのですが、仲間がゾンビに襲われてもカメラを回し続けるその一貫性。「カメラはいいから助けて!」と怒鳴られるシーンがありますが、本当にもっともだと思います。
 ゾンビものでいうと、他には「ゾンビランド」が好きです。遊園地に逃げ込んだ先で観覧車に跳ね飛ばされるゾンビ共や、迫りくるゾンビの波をマグナム二丁拳銃で一掃するオッサンには私の中の6歳児が大興奮。

 話が逸れました。

 

開発経験はあった方がいい

 当然ですね。
 RPGツクールをはじめ、Unity、Cocos2D、UE4、Cry Engine、エトセトラエトセトラ……。
 アマチュアでも触れるゲームエンジンが世に溢れたこのご時世、そのうちどれかに触れていたことがあるかないかでは、雲泥の差が存在します。
 本当に少しでいいので触っておけば、他の新卒との差別化が図れます。
 仮に掘り下げられることがあったとしても、せいぜい「何を作ったか」「どんなところに苦労したか」という程度。
 そこに対する回答さえ用意しておけば、ホントに小指の先で掠めたレベルでも気づかれることはありません。多分。

 ちなみに当時の私はUnityを触っていました。適当な板の上で球体を転がし、球体が落ちたらゲームオーバーという単純なゲームです。深みを出すためスペースキーで球体がジャンプできるようにしたものの、一段ジャンプした後に再ジャンプを禁止する方法が分からず、無限にジャンプできるという苦行に等しいゲームと化しました。プレイヤーの体力かスペースキーの耐久が摩滅した時が真のゲームオーバーです。

 

そして具体例

 色々まくしたててはみましたが、果たしてそれら上記の条件を満たした面接はどういう形式になるのでしょうか? 具体例を私の完璧なる脳内でシミュレーションしてみました。


「どうぞおかけください。ああ、リラックスして頂いて結構です」
「そうですか? ありがとうございます、実はけっこう緊張してたんですよー」
「さっそくお尋ねするのですが、まあ、弊社ゲーム会社でして。ゲームについてお伺いしようかと思うのですが、特にお好きなジャンルといえば何になりますでしょうか?」
「うーん、アクションやシューターですね。RPGやADVもしますが……ゲーム性が高いタイトルを主に遊びます」

 アクションゲームは主に「ゲームらしいゲーム」として高い評価を受ける対象になりがちです。もちろんRPGやADVも立派なゲームですが、よほど好きな理由を明確に答えることができなければ、評価を受けることは難しいかもしれません。


「なるほど……(メモを取りながら)では、ここ最近遊んだゲームを教えていただけますか」
「はい。最近ではPS4でダークソウル3やアンチャーテッドの新作、後はバトルボーンとオーバーウォッチを遊んでますね」
「ほほう」

 海外の主要新作を軒並み挙げて、グローバルに高いアンテナを立てていることをアピールします。もちろんゲームの感想・分析を問われることもありますので、事前に自分の中でどこが面白かったのか整理はしておいた方がいいでしょう。

「他ではOculus、Vive、PSVR」
「PSVRってまだ出てませんよね」
「それからXbox 360の重鉄機、PSのパネキット、SSの宇宙戦艦ナデシコ、MDの魔導物語MSX沙羅曼蛇……」
「最近のゲームって言いませんでしたっけ」

「まだ100年も続いていないゲーム業界なんて、考古学的・宇宙的観点からすると閃光のようなものでしかありませんよ」
「なるほど。ところでXbox Oneのタイトルは?」
「Oneは持ってないです」

 Oneはとても素晴らしいプラットフォームですが、持ってなくても減点にはなりません。ご安心ください。

「では、最近のゲームは満遍なく遊ばれているようですね」
「はい」
「ゲーム以外についてもお伺いできればと存じますが、好きなエンターテイメントといえば何が挙げられますか?」
「はい。映画、アニメ、何でも見ますが……最近で特に注目したのはディズニーの『ズートピア』ですね。人種差別をモチーフにしたストーリーラインはもちろんのこと、エンディングに登場する歌姫ガゼルと、そのバックダンサーに上半身が隆々とした虎をチョイスしたことはすさまじいセンスと言わざるを得ません」


 注:私の個人的感想が含まれています。
 劇中に「ガゼル」と呼ばれるカリスマソングシンガーが登場するのですが、歌の完成度は当然として、シンガーにガゼルというアニマルを選出したことが素晴らしい。確かにあのアイシャドウじみた目とその流し目は、カリスマアーティストにふさわしい色気を醸し出していますよ。
 バックダンサーに虎を選んだのもなかなかのセンスです。筋骨隆々としたその骨格に、猫家特有の艶っぽさが伴う絶妙なバランス。しかもそれが四匹、細やかな矮躯のガゼルを囲んで力強く踊っている絵面。画が引き締まるとはこのことです。
 ゼェハァ。
 何の話でしたっけ。


「何かご自身で創作をなされた経験はございますか?」
「そうですね……(考える間)、色々ありますが、ひとまず今は自身でゲームを制作しています。RPGツクールRPGを作りつつ、Unityで3DでUnityちゃんでVRなアレコレを開発し、UE4ではマテリアルがSubstanceなゴニョゴニョを構成しています。Game Jamにも参加して、そのたび色々作ってますよ
「素晴らしい! それらはもうどこかに公開されているのですか?」
「はい、Unityで作ったアプリはApp Storeに登録済です。他にもSteamでインディーズデベロッパー登録して、そこでも販売中です」
「最高ですよ貴方は!」
「いえいえ、恐れ入ります」
「それでは、本日はお疲れ様でした。面接の結果は後日お伝えさせていただきます」

 

 面接は以上です。
 大体これほどの人材であれば、文句なしに一次面接を通過するのではないでしょうか。
 就活でお悩みの方は、是非参考にしていただければと思っております。
 まとめると「リラックスしてペラペラ喋れて」「ゲームをたくさん遊んでて」「他のエンタメも造詣深く」「何かしらすでに開発に挑んでいる」というだけです。簡単ですね?
 それでは大変なことも多いかと存じますが、是非本稿を参考にし、ゲーム業界へ飛び込んできてください! 業界はフレッシュな人材を求めています!


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 というわけで、ウィスキーを流し込みながら大体30分くらいで書き散らした文章でした。グヘッヘ。
 ではまた。

願いを叶えるお話です


 こんにちは、イトーです。

 寝る前に文章練習のためにフィーリングで書いた記事ですが。
 何というか、まあ、自分でもよくわからない文章になりました。捨てるのももったいないので、掲載します。

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「もし何か1つ、願い事を叶えることができたなら」という質問があります。
 もう古今東西で100該回繰り返されたんじゃないかな、というくらい陳腐な質問ですが、ちょっと深く考えてみたい。

 仮にそれが人智を超えた技術で実現したものとして、願いは何かしら定量のリソースを費やされて叶えられるものになるんじゃないでしょうか。
 要するに、「金持ちになって美女をはべらせてこの世を統べる王となりたい」という願いがまあ平均だとして、それを1000リビドー(今作った単位)としましょう。

 つい先ほど私は洗濯した布団カバーを敷布団に被せながら「布団カバーを一瞬で装着できる能力が欲しい」と願ったんですが、まあこれは1リビドーくらいが妥当でしょう。
 そいでランプの精に私が「布団カバーを一瞬で装着できるようになりたい」と願ったとして、それが1000リビドー……つまり1000倍のリソースがその実現に費やされる計算になります。

 すごい。
 もう、それだけあれば何でもできます。

 例えば目の前に布団がなくとも遠隔操作で布団カバーを装着できるようになるでしょうし、自分のでなく他人のでも自在に装着できるようになるでしょう。もちろん一度に1000枚くらいの布団カバーを装着できるくらいのパワーもあるはずです。もういっそ私の意志に関係なく、自動で布団カバーが装着されるくらいの勢いです。オート布団カバー装着スキル。

 そしたらそれを商売にすることもできるでしょうし、世紀の布団カバー職人として世界中のTVから取材もされるでしょう。
 60億の全地球人類は「布団カバーの装着」という労苦から解き放たれ、その分の時間が個人や集団を幸せにするために費やされることになります。仮に1回の布団カバー装着を5分として、それが×60億なので、ええと1日に300億分。秒に直すと180兆秒の余裕が毎日生まれるわけです。計算合ってる?

 仕事に追われていた父親は家族とのかけがえのない時間を得て、日本人の睡眠不足は解消され、ゲームの開発期間に余裕が生まれ、大統領は政治施策に回す思考時間が増え、1日は25時間になります。
 そう。どんな願いを抱こうと、得られる結果に変わりはないのです。

 もしあなたがどんな願いでも叶えられる状況になったとしても、迷うことはありません。好きな願いを口にしましょう。その願いはどんな形にせよ、同じだけのリソースを持って叶えられるはずです。

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 寝ます。
 それじゃ。

ぼくは大人になったら漫画家になってると思います

 こんにちは、イトーです。

 

 この間、子供のころの自分に会いました。
 より具体的に言うと、久々に実家に帰ったら小学校の文集が発掘されたことを、ちょっとポエティックに表現してみました。

 書き出しはこうです。「ぼくは、大人になったら漫画家になってると思います」。

 なってません。というか絵も描けない。何かすまんな。
 読み進めていくうち、次第に当時の記憶がふつふつと泡のように脳の奥から沸き上がりました。やがてそれらが寄り集まって精細さを増していくのが分かります。使われていなかった灰色の脳細胞が活性化し、2色から16色へ、256色から更に色味を取り戻していくかのよう。

 気付けば、まるで目の前に小学生の頃の私がいるかのような臨場感で、私はその文集を読み進めていました。
 イトー少年の第一声はこうでした。少年らしく張りが合って甲高い、弾むような声でした。

「いまのぼくはどんな漫画を描いてるの?」

 描いてません。そもそも漫画家になっていません。すまんな。
 イトー少年は私の返答にたいそうショックを受けているようでしたが、私の方が傷ついています。オトナの現実をわざわざ言葉でなぞり直すことに何か意味があるのか。
 しかし少年期の私、よく見ると意外と美少年です。この頃から長めの髪は漆を塗ったように艶やかで、前髪に隠れた目は利発そうな輝きを秘めています。
 相手が私でなければ「きっと将来は大成するだろう」と小さな頭を撫でてあげたところです。実際はまだ大成していないので、自分を「神童」と勘違いして少年期を過ごしていただけという可能性もなきにしもあらずで、つまりこの話はやめましょう。きっと大成するよ。

「どうして漫画家になれなかったの?」

 ストレートに訊いてくる子供です。その質問が10年後に返ってくると理解しているのでしょうか。私はぶっきらぼうに返答します。

「そりゃあ、今のお前が絵を練習してないからだよ。俺のせいだけにしないでよ」
「ええ……でも、なんかそういうのは、こう、いつの間にかうまくなってるものだと思ってた」

 すごくわかる。同時に、私が漫画家になれなかった理由も。

「じゃあ結婚はした?」
「したい」
「大人って20才くらいになったら皆 結婚するものじゃないの?」
「俺もそう思ってたんだけどなあ……」

 

  そう答えた瞬間、妙な感覚に襲われました。身体が軽くなるというか、それとも現実感が希薄になるといったほうが近いかもしれません。


「そういえば、今は何のお仕事をしてるの?」

「会社員」と答えかけた瞬間、私は恐ろしいことに気づきました。僅かではありますが、私の身体が透けてきているのです。

    同時に私は理解します。そう、夢に満ち溢れたこの頃の私が今の私のような現実を受け止めきれるはずは到底ありません。結果として「未来」の私の存在可能性が薄れてしまっているのでしょう。
 最悪の場合、若さゆえに勢いでイトー少年が命を絶ってしまうかもしれません。この頃の私は、瀕死になることで謎のパワーに覚醒したり生まれ変わることに希望を抱いていた時期だったでしょうか? もう少し後だった気もしますが、確証はありません。
 しばし悩んだ後、私は「そうだ!」と腿を手で叩きます。

「将来の君は、ゲームクリエイターになっているよ!」

 

    それは私が少年の自分に誇れる、数少ない誇りの一つです。淀み始めていたイトー少年の瞳に、再び輝きが灯るのが分かりました。


「すごいすごい! ゲームクリエイターってどんなことをするの? キャラの絵を描いたりするの?」
「いや、だから絵は描けないんだって」
「じゃあプログラムをするの?」
「プログラムも打てない」
「……じゃあ何をやってるの?」
「それ意外の全部というか……」プランナーは基本雑用というか。

 また私の透明度が上がってきたので、「わー!」と叫んでその場をごまかします。不透明度50くらい。イトー少年が狂人を見る顔つきで身をすくめたのにややショックを受けますが、相手も自分だと思えばそこまで気にはなりません。

「……他に何かないの? 例えば、最近読んだ漫画とか」と少年。
「『寄生獣』読み直してる」
「それ、ぼくが今読んでる漫画……」

 名作はいつ読んでもいいものです。イトーレイヤーのアルファ値がまた上昇。私は気を取り直し、

「あ、そうだ。そういえば『寄生獣』2014年くらいにアニメ化したよ」
「え? アニメなんて観てるの? 大人なのに?」
 
 またイトー少年の未来期待値が下がる音が聞こえました。もはや私を挟んで、10m先の八百屋の看板の文字が読めるほどに存在感が希薄です。金のオーブをこっそり偽物とすり替えてこの場を去ってしまいたい。

    後がありません。このままイトー少年に世を儚まれるわけにはいきません。しかし生き汚く、退屈な大人になってしまった私が彼に希望を見出させることが果たして可能なのでしょうか?
 少年期の私が何を願い、何を切に祈っていたか?
 記憶を10年以上前まで遡り、そして私は気付きました。私が目の前の彼の延長であること。そして、私の骨子たる部分は10年経っても何も変わるところがないことを。

「……ひと月に」ぼそぼそと私はイトー少年に呟きます。「お前、ひと月にいくら小遣いをもらってる?」
「え? ご、500円……」

 鼻にツンとくる刺激がありました。その痛みはじわりと目まで染み通り、私は涙を零します。500円。懐かしい単位でした。この時から本とゲームが好きだった少年は、いったい500円で何ができたでしょうか。かけがえのない少年期の数年は、たったそれだけの理由で無為に過ぎていったのです。

「……20万」
「えっ?」
「今の俺の月給だ」

 みなし残業込みだがな、とうそぶき、私は踵を返します。元の時代に戻るために。ここにはもう留まる理由がないと示すように。
 この時代との縁が薄れていっているのでしょう。遠ざかる過去の気配に紛れて、イトー少年の声が私の背を追いました。それが何という台詞だったかは分かりませんが。

 ただ、今こうして私がAmazonでゲームと本を買いあさっているということは、そういうことなのでしょう。未来は守られたのです。希望という輝きによって。

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月給の額はてきとうです。(念のため)

クラッシュロワイヤルでお金を稼ぐ話です

 こんにちは、イトーです。

 

 お金好きですか?

 私は好きです。お金があると心が豊かになります。心が豊かになると他人に優しくなれます。私は大変に他人想いの人間なので、たくさんお金を稼ぎたいと思います。

 何もおかしいことはありませんね?

 さて、本日は大人気ゲーム「クラッシュロワイヤル」をモデルに「いかに課金へ誘導するか」というお話をします。

 

▼ところで

「クラッシュロワイヤル」、ご存知でしょうか?

Clash Royale

Clash Royale

 

 有体にいってしまえばMOBAというジャンルのゲームをスーパーカジュアルに仕立て直した、大変ステキなアクションシミュレーションです。

 何よりPvPというのがいい。PvP大好き。COOPは……キライとまでは言わずとも、実はそこまで好きじゃありません。仲良しこよしの同調圧力というか、秘薬忘れただけでキックされると心が砕けそうというか、お互いに気づかい合わないといけないの疲れるなあとか、そういうアレです。

 比べてPvPはただ競うだけ。ただ自らを高め敵と全力でぶつかり合う、手加減も気づかいも必要ない関係の何と純粋なことか! 憎悪と好意が相似形であると実感する一瞬です。憎み合え!

 

▼本題へ

 ゲーム性についてはどうでもいい。ビジネスの話をしましょう。

 さて「クラッシュロワイヤル」の「お金を払いたいタイミング」(以下「払いタイミング」)ですが。

 実に巧みに、様々な要素が「払いタイミング」の強化に寄与していることがわかります。

 フロー図を作ってみたのでさっと目をお通しください。

 

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▼長い

 もうこの時点で上記画像を拡大表示すらされていないことが察せられるのですが、はい、ごめんなさい。画像を作った時点で力尽きて、分割する余力がありませんでした。

「クラッシュロワイヤル」の課金タイミングはいくつかあるのですが、そのうち代表的なものに「宝箱アンロックの時短」というものがあります。

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 クラロワでは他プレイヤーと「バトル」をすると「宝箱」が手に入ります。中に強力(かも)なカードが入っている大変ステキなボックスですが、開けるのに時間がかかります。最低レアリティの銀箱で3時間。金箱なら8時間です。それらは4箱までしか保持できません。

「長い」「少ない」と思ったお方、ご安心ください! なんと、特別に! 課金することで即座に宝箱をアンロックすることができます!!

 

▼課金だいすき

 もう私は課金此人生也みたいな感じになってしまっているので貧者への支援を惜しまなかったマザーテレサのごとくスルスル無抵抗課金ですが、ハードルを感じる方もいらっしゃるでしょう。

 もうお気づきの通り、このゲームは「バトルをプレイしていると『宝箱』がいっぱいになる」「バトルをしても『宝箱』がもらえなくなるので、やむなく待機」というシーンの連続です。

 もちろん、それでも3時間待つという忍耐強い方もいらっしゃるでしょう。

 そんな強情なお客様のために、「クラッシュロワイヤル」を開発したSupercellは3人の刺客をご用意しました。

 

1. 「上へ行きたい」気持ち

2. クラロワTV

3. クラウン宝箱

 

「1. 『上へ行きたい』気持ち」はもはや説明不要です。

 クラロワでは勝利して手に入れたトロフィーの数で「アリーナランク」が決まります。ランクを上げて次のアリーナへ向かうと、使用できるカードのプール(種類)が増えます。つまりよりテクニカルなカードを使えるようになる。

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 バトルのモチベーションを更に強化するのが「2. クラロワTV」です。

 トップランカー同士のバトルが記録されるTVで、刃牙に例えるなら地下闘技場のリプレイです。プレイの参考になる他、「目指すべき場所」がはっきりします。「憧れ」と言い換えてもいい。

 

「3. クラウン宝箱」大変卑怯な仕様です。

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 なんとバトルで「クラウン」(敵の拠点)を計10個破壊するだけで開くことができる、大変お得でレアな宝箱。しかも待ち時間なし。

 しかし1日に1度しか開けることができません。ああ、是が非でもバトルしてクラウンを集めないと……でも調子がよくても10個集めるには10戦以上必要で……あれ? 勝率を仮に5割と見積もって宝箱5つを開けつつクラウンを稼がなくちゃいけないとなると……3時間 × 5個で15時間以上かかる! ああ、これは課金するしかありませんね……。

 

おわりに

 妙にアジテーショナルな内容になってしまいましたが、内容の半分はこのくらい各要素が密接に関係し合わなければいけないのだろうな、という個人的メモです。気持ちよくお金をたくさん払ってもらって、面白さに還元できるゲームを作りたい! という大変前向きなマインドと言えます。

 本稿では省略しましたが、これらに加えてログイン機会を増やす仕様もたくさんあったり、敵方の「新しい戦術」に触れて更なる工夫を巡らせたくなるような対戦環境があったりと、本当に各システムが互いを高め合うように配置された、ステキなゲームです。

 

おまけ

 余談ですが、海外プレイヤーは結果が不確定な「ガチャ」より、「時短」のような確実性のあるものに課金する傾向が高いという話があります。前身の「クラッシュオブクラン」なんかがその代表例。「クラッシュロワイヤル」は一見ガチャっぽいですが、「スロットを空けるのにお金を払う」という点が海外の人からすると時短課金に見えるのでしょうか?

 と言いつつ、クラロワにもありますけど。ガチャ。品揃えランダムのショップから直接購入もできます。とにかくお金を稼ぐための導線はたくさん配置するにこしたことはないのかもしれません。身もフタもない話ですが。

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グリムガルを読みました

こんにちは、イトーです。

『灰と幻想のグリムガル』読みました。

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 作者のデビュー作『薔薇のマリア』が好きだったので手を付けてみたら面白かったので、自分向けの備忘録を兼ねて紹介しようと思います。

 少しだけ続刊以降の内容に触れます。致命的なネタバレは避けますけどご注意を。

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お金を稼ぐ話です

 異世界に拉致された主人公たちがモンスターを倒して、利鞘を稼ぐ話です。
 以上。


稼がねば暮らせぬ

 もう少し説明します。

 異世界に拉致された主人公たちは、いくばくかのお金(2万円くらい)を握らされて世界で生き抜くことを強いられます。とりあえず10万くらい稼いで「正式義勇兵」になれば生活ができる!

 というわけで(騙されたりひもじい思いをしながら)何とか装備を整えた後は、いざお金稼ぎを始めます。どうやって?

 モンスターを殺して身ぐるみを引っぺがします。


 最初はゴブリンが弱いので狙い目です。

 ゴブリンは金目のものを持ち歩いている(ことがある)ので、それを売っぱらってお金にしましょう。日々の食費や宿費を差し引いて……運がよければ黒字です。祈れレアドロップ。

 しかし1つしかない命。万が一死んでしまうわけにもいかないので、大勢で囲んで殺しましょう!


7巻になっても稼いでる

 こういうコンセプトだと、ある程度お金稼ぎが軌道に乗った後は展開しづらくなるんじゃない? とお思いかもしれません。

 でもご安心ください。

 7巻になるとまた別の世界に飛ばされて、別の通貨を稼ぎ始めます!

「あーその手があったかー」と内心で膝を叩きました。

 飛ばされるのは日が決して昇らない夜世界。
 今までたんまり稼いだお金はまったく使えず、ついでに言語も通じません。状況前より悪い。ご飯も食べられない日々が続く中、仕方ないので初心に戻ってお金を稼ぎ始めます。どうやって?

 死体を漁って硬貨を拾い集めます。


最後に

 全巻通して生活感あふれる、とても楽しい小説です!

 作風としては著者デビュー作『薔薇のマリア』そのままというか、2000年代前半のダーク系ラノベです。『されど竜は罪人と踊る』とか『ラグナロク』とかああいう。

 最近の「類型の話をストレスなくサクサク読んで消費していける」ことを重視した異世界ものとは真逆ですが、そのぶん旧来からのライトノベルファンは昔の味を懐かしみながら、流行の異世界ものを楽しむことができるんじゃないでしょうか。

 以上、『灰と幻想のグリムガル』でした。レビューってこういうのでいいのだろうか。

 

悠久なる秘境の伝説です

 こんにちは、イトーです。

 弊社だと、有給休暇は取得から2年ほど経過すると消滅します。
 期限を迎え蒸発した有休は、その後天へと上り、妖精たちによって集められます。長い時間をかけて集められた有休は少しずつ形を取り戻し、妖精たちの楽園・アーヴルヘイムに辿り着くのです。
 常人では見つけることすら叶わぬそこは、まさしく異界の妖精境。しかしひとたびそこに辿り着くことができれば、消化しきれないほどの有休を手に入れ、一生遊び続けることができるのだとか。

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 寝る前に適当な文章を書いておこうと適当にタイピングしていたら、予想以上に意味のわからないものになりました。
 おやすみなさい。