俺はキングスマンだったというお話(スーツ仕立ててみた話)
こんにちは、イトーです。
意図せず私がパーシヴァルであるかのような紹介になりましたが、画像はただの賑やかしで意味はありません。マナーが人を作るんだ!
この記事の要点です。
結論から言うと、スーツを仕立てるのは超楽しかったです。
私はスーツを着る職業をしてないので、テーラーに行く前には正直かなり緊張していたのですが、結果として店員が手取り足取り導いてくれたおかげで、ステキな時間を過ごせました。
私のようにスーツに対して悲しいコンプレックスがあったり、オシャレに何となく気恥ずかしさがある人ってけっこういると思うんですよ。でもまあ、こんな意見もあるよ、という紹介になればと思ってこの記事を書きます。
スーツグランドオーダー
スーツといえば就活のときに買った紺のスーツしかなく、今までそれを使いまわしてたわけですが、何だかブカブカ気味で気持ち悪い着心地なのがイヤでした。
でもキングスマンのエグジーは仕立てられたかのように(仕立てたんだよ)身体にピタッと合ったものを着てるじゃないですか。あれが今回目指す形です。
これ!
グーグル先生に訊いたら、とりあえずパターンオーダーとかいう形式なら2万~6万くらいで私のような貧民凡夫にもスーツを仕立てられる権利が与えられるようなので、今回はそれにしました。
フルオーダーっていう仕立て方もあるらしいんですが、値段を見て私は気絶して、起きてまた見て気絶したので、やめました。
ちなみにこれはフルアーマーガンダムです。(*1)
ドラゴン退治のために素材を選ぶ
今回私が行ったのが、テーラー、というかいわゆるアオキみたいな、スーツも扱ってる服屋でした。TAKAQってところです。
店に入るとかっこいいスーツを着た店員さんが立ってるので「スーツ仕立てたいんですけど」って言うと、優雅な動作で奥へ案内されますので付いていきます。
招かれたのはありとあらゆるスーツが吊るされた空間で、この時点でだいぶ私の中のキングスマンが大興奮。
ここから怒涛のカウンセリングが始まりました。
「スーツの用途は何ですか?」
「あ、結婚式です」
「じゃあ黒とか紺とか、大人しめの色にしましょう。例えば……」
「あ、でも、葬式みたいな真っ黒は避けたいです。粋な感じにしたい」
「(ちょっと黙る)これはどうでしょう。遠目には黒めですが、近づいたらさりげなくチェックのラインが見える生地でして」
打てば響くように返事が返ります。店員の当たり外れもあるかもしれませんが、こちらの適当な要求に合わせていろんな候補を出してくれるのが嬉しい。
何しろこちとらシロートなもんで、「ふとした時に裏地の柄が見えて、『おっイナセだねェ!』って言われたいんですよ」という不可思議な注文をせざるを得ないんですが、即座に「つまりこういう?」と既製品のサンプルが出てくる店員の対応よ。プロフェッショナル精神を感じました。
「この生地ですとウール100%、こちらは50%ポリエステルが混ざってます。ウール100%だとこの濡れたような光沢が美しく……」
という感じで素材も選びます。
目的とか好みに合わせて素材や柄を選んでいくわけですが、気分は防具屋で鎧を作る戦士。「今回はドラゴン退治でねー」「ではこちらの炎耐性の高いミスリルがよいでしょう」みたいな感じ。超楽しい。
俺だけの鎧を作っていくよ
もはやあまりにもカスタマイズ項目が多すぎて例を挙げきれないのですが、以後もこんな感じでありとあらゆる質問と返答を繰り返します。
パンツの丈の長さとか細さとか、予想の範疇の項目から、カフスボタンや胸襟の大きさ、裏地の作り、背に垂らす生地の形までとにかく色々。
一応マンガで知識を仕入れてから望んだんですけど、まったく役立てられませんでした。なおこの『王様の仕立て屋』が面白かったこともスーツを買った動機の一つだったりします。(*2)
こんな調子でいちいち「お客さんの体形だと、下半身がガッチリしてるので上半身も作りをしっかりした方がいいですねー」などとアドバイスが入るので、安心して一方的に好みをぶつけることができました。
あと私が何となく「いいスーツは身体に合ったスーツだ」という印象から「脚回りがちょっと緩いですけど、もっとピタッと合わせるもんじゃないんですか?」って訊いたときに、
「お客さん、いいスーツってのはね、脚に一本通る折り目のライン……プリーツが美しく立っているってことなんですよ」
って返事が来たのはちょっとしびれた。私はこういう伝統的観念とか、ぶれないポリシーみたいなものが好きなのです。
ほかにも色々うんちくを教えてもらいつつ、ようやく項目全部を選択し終えたときには、ざっと2時間が経ってました。
ついでにスーツに合わせて、ネクタイとかポケットチーフも見立ててもらいました。フル装備!
おわり
『王様の仕立て屋』と『キングスマン』でしかスーツ知識のない私でも、手取り足取り店員が教えてくれたおかげで、楽しんでスーツを仕立てられましたよ、という話でした。
とりあえず私については結婚式を無事に乗り切ったので、次に着る機会は年明けの『中間管理職トネガワ』の脱出ゲームかな、と思います。
これね。作中に登場する黒服になりきって、会長の無理難題に応えるって脱出ゲーム。
サングラスは自転車用に買ったやつを付けます。
(*1) 思いついたことを黙っていられない
(*2) 私が高額商品を買うときは、だいたいマンガの影響。ロードバイクを買ったのも『のりりん』の影響。