パンツを探しています
こんにちは、イトーです。
「俺のパンツ知らない?」
私とルームシェアしている男はいつも唐突です。
何でこいつは服を着てないのかな、と訝りつつ私は首を横に振りました。
彼は憤然と、
「そんなはずはない」
なぜそんな自信満々に。
「俺が洗濯機に放り込んでおいたパンツがない。お前はさっき洗濯機を使っていただろう。つまり俺のパンツも、お前の洗濯物に混ざって干されているのではないか」
「お前のパンツと一緒に洗っちゃったことの方が事件なんだけど」
ともかく確認させろとうるさいので、部屋に招いて洗濯物を一つ一つ指差します。
「これは?」
「違う」
「こっちのトランクスは」
「違う」
もう品切れです。私が今さっき履いたパンツを除けば。
……私はおもむろにズボンを下ろしました。
「………………………………違う。いや、違わなかったらもうそのパンツあげてたけど」
「俺も要らんけど……」
そうなるともう私の部屋にパンツはありません。八方塞がりです。
あれから数日経ちますが、パンツは今も見つかっていません。
私はこれから、私が履くパンツ全てに「コレはルームシェアの奴のものなのではないか?」という疑いを抱きながら生きていかなければならないのでしょうか。
それは白い布地に落ちる一滴の染みのようです。私の人生が汚染されていきます。まるで、洗濯物に混ざった他人のパンツのように(そのまんまですが)。
私は今日もパンツを探しています。
追記)
『パンツパンツと見苦しい』というご意見を多くの方から頂戴いたしました。申し訳ございません。
追々記)
お詫びといたしまして、私とルームシェアの者はどちらも美少女であることを明かします。
追々々記)
さらに女子高生でもあります。中間試験が憂鬱です。